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ベルリンの高瀬アキさんからのメッセージをお届けします。 このページの更新はまったくもって不定期です。 |
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![]() 秋といえば2つの大きなジャズイベント、 "Jazz Fest Berlin"に "Total Music Meeting"が毎年11月始めに開催されるのだが、 去年このJazz Festivalで一緒に演奏したデユオの相棒であるRudi Mahall(バスクラリネット)が 今年も他のユニットで連続出演というとても嬉しい知らせ、 彼は今やジャズシーンのヒーローになるつつあるようで、 こういった独創的なミュージシャンがどんどんセッションを繰り広げているベルリン、 悪くないなと思う今日この頃です。それにしても世期末とは言えまだまだ世の中捨てたもんじゃありません。 嬉しいこともけっこう続くものなのです。今回はとりわけ嬉しかった出来事をふたつ書くことにいたします。 私の教えているハンスアイスラー音大にはJAZZ部門があり、 つい最近中間試験があったのだけどこれが生徒達にとってはかなりヘビーで、 演目としては4曲のオリジナル、クラシック1曲、それにスタンダード曲から20曲を選択など。 いつも試験の当日になると大学の建物は、まさにフリーズ状態、突然真っ白い病棟の雰囲気に変り果てる。 試験はコンサート形式ではあるがホール全体が何だか公開オペの手術室のような感じ。 その日、私のお気に入りの生徒ミシャエル君も試験を受けた。教授5人による採点で、 私ともう一人は実にユニーク、オリジナリテイがあり才能に溢れる素晴しいピアニストと褒めちぎり、 後の3人は確かに個性的ではあるがまだまだテクニック不足、 むにゃむにゃと今ひとつ最高点にはゆかないという渋い答えでこの論議 何と1時間以上にも渡った。 結局少数派の私たちの意見の押し勝ちで御見事!ミシャエル君2を勝ち取ったのでした。 (ちなみに点数は1から5まであって1が最優秀5は追試なのです) 何故か私の生徒は全員身長2メートル近い大男ばかり、 それもかなり型破りなタイプが多くてとこぼすとベルリン雀の姐御たちが 「若くて美しい男の子ばかりに囲まれてアキが羨ましいわ」とピーチクパーチクおっしゃるが、 いえいえそりゃ大変なんざんす。 毎週下手糞ドイツ語で論議好きなドイツ気質に混じって冷や汗かきかきの叱咤激励せにゃならんのですから。 これに続けてドイツ語コンプレックスに日々悩める私のもうひとつ嬉しい出来事にまいります。 BERLINER ZEITUNG(ベルリンの新聞社)から"KRITIKERPREISE" という名の賞を頂きました。 今までドイツで何回かレコード批評賞というのは頂いたけれどいつも賞状のみ、 つまり紙きれだけだったのですが今回は何と賞金つきでして、これは実に嬉しく有難いお話。 しかもこの賞はかなり名誉あるものだそうで、 ちなみに昨日行なわれた受賞式も日本でいえば国会議事堂のような建物のコンサートホールに 何と600名以上の政界、各界の文化人、舞台人、ジャーナリスト達が招待されたのでして、 受賞を受けた私達5人がそれぞれ舞台に上がってゆき真っ赤な椅子に座って司会者としばらく懇談し、 そのあと芝居、演奏などを披露というセレモニー。かなり規模が大きく大袈裟な催しでもありました。 最初の賞を受けたInge Kellerというお婆ちゃん(芝居の世界でとても有名な女優さんだそう)が舞台に上ってゆき、 ゆっくり噛みしめるように喋りだしたのを見ていたら、私の心臓はどきどきし始め、しゃべるの苦手な私、 もしや難しい事を聞かれたらあらあらどうしよう! いっときの恥じでは済まないぞと今さら普段の勉強不足を反省しても今や時遅し あー久しぶりの緊張感。 しかしこの日運命は私にどうやら味方してくれたようで有難き幸せかな、 ひとことふたこと喋ったあとうまく演奏披露にこぎつけて 今一番大好きなドラマーのTONY BUCKとデユオでピアノに向いだしたら心臓はぐんと落ち着いたのでした。 多分この先もモットーはこれでいこう! |
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![]() 8月5日、6日、 BCJO(ベルリンコンテンポラリージャズオーケストラ)の公演がベルリン、 ポツダムで2日間に渡っておこなわれた。 リハーサルと本番を合わせてちょうど一週間のワークショップでありました。 リハーサルの3日目には我が家で私の得意とするトムヤンクン料理に このBCJO公演の為に日本から駆けつけてくれたベーシストの井野信義が焼き鳥を御披露、 部屋中が煙りで真っ黒っけになったものの宴会は朝近くまで続き、 我が家にあるビール、ワイン、ウイスキーのすべてが空っぽ。 こちらのミュージシャン達にはどうやら肝臓が2つ付いているみたい。 とにかく強いというか横綱級ばかり。 わたしゃあとてもこれではからだが持ちません。せっせと2時には寝てしまいました。 翌日のリハーサルで誰も二日酔いになっていないのにはいつもながらに驚きであります。 最初の日のコンサートはベルリンのラジオ局でのスタジオ公開録音。 前宣伝がうまくゆきわたったせいか大入り満員で4、50名がホールに入りきれずやむなく帰るといった事態で ミュージシャン、関係者一同ともに嬉しい悲鳴。 今回は ”リード奏者に捧げる4つのスケッチ”と題したアレックスの4作品、 先日 浜松のジャズフェスで日野皓正さんに書き下ろしてオーケストラで演奏した私の作品 ”アンビバレンツ”に新しく手を加えて2部構成としたもの、 それにアレンジとしてはエリックドルフィーの曲、 ヘンリーラウターがこのBCJOの為に書いた エモーナなどが主なるプログラムで 若手のベルリン子達をフィーチャーしたものからエバンパーカーなどイギリス勢の即興演奏を中心にしたものを演奏した。 2日目はポツダムにあるWASCH HAUSという元洗濯工場だったとてつもなく大きくて古い建物で 普段は現代アートの作品など展示している場所で公演。 夜10時やっと辺りが暗くなってきたところでイザ演奏開始。 この日は満員にはならなかったけれど近くに住む子供連れの客や自転車で駆けつけた若者たち、 また観光でたまたま訪れた日本の女の子たちなど客層の顔ぶれが前日とおおいに違ったアットホームな雰囲気。 建物の外にはテントが張られて皆好き勝手に飲んだり食べたり。 会場にはイタリア人の画家による大きな絵が何点も展示されていてスペースが広いせいか がらんとした中 管楽器がとても気持ちよく響き渡って全員リラックスした面持ち。 演奏後は既にどっぷり暮れた中 野外にある大きなテーブルを囲んで風に吹かれながら蝋燭に明かりを灯してバーベキュー。 ソーセージやじゃがいもがどっさり盛られて 勿論云うまでもなくビールで祝杯。 今度 皆に会う日の楽しみにもう一度乾杯! 夏の夜の8月の或る日の事でした。 次回のBCJO公演は来年5月にイギリスでおこなわれる予定。 |
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![]() ベルリンのジャズクラブで久し振りにセクステットで演奏。 こんなことは凄く珍しいのだけど 昨日はベルリンの最高気温が何と36度まで上がってエアコンなどまったく効かない蒸し風呂サウナ状態のなかで白熱、 進め一億火の玉と汗だらけで演奏。 夏の季節は皆バカンスで出かけてしまいベルリン中が空っぽになるのだけど 何故か昨夜のコンサートは大入り満員で嬉しかった。 始まりも時刻は夜10時半、終ったら1時をはるかに過ぎてビールで乾杯!! 音も人もごったがえしで暑い 熱い夜でした。 私の相棒のルデイと新しく作ったこのセクステットのドラマー, トニーバックは今一番お気に入りオーストラリア出身のミュージシャン。 彼とはこのセクステット以外にもトリオで電気バンドと名付けたグループも始めたところ。 彼はマークシュトックハウゼン(シュトックハウゼンの息子のトランペッター)とも一緒に仕事していて コンテンポラリー、ジャズ、電気仕掛けとすべて強力!! 明日は作家の多和田葉子さんとラジオのカフカの時間という2時間番組で 朗読とピアノの組み合わせで2人して彼女の作品にインプロバイズしたものをスタジオ収録。 彼女はハンブルグに長く住んでいる若手の芥川賞作家で 帚の代わりに鉛筆にまたがっている現代の空飛ぶ魔女であります。 近い将来アートブックというものを作る予定で検討中。 |
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![]() 私はかなり不精ものでマメに色々と載せたりするのは苦手なものですから、 ベルリンに住んでいて友人たちにアキさんもホームページ作ったらと言われながらもいつもぐずぐずしておりました。 こちらドイツでは私の幾つかのプロジェクトに対してそれぞれにマネージメントしてくださる人がいるので スケジュール行程などは大概任せていることもあり私自身でどんどん予定を立てていけない感じですが でもこの先大きなプロジェクトはホームページに載せてゆけるようにしたいと思っています。 ドイツに移ってだいぶ年月もたち、かなりやりたいことが出来るようになったので そろそろ日本でも機会を作って演奏の幅を広げたいなと思っています。 秋吉敏子さんが還暦の祝いの席で”枯れ木も山のにぎわいと申します。どうぞよろしく” といったスピーチをなさったそうですが、私は還暦までまだしばらく時間がありますので この先ひと花咲かせなくちゃと思っています。出来たらふた花くらい見事に咲かせてみたいな。 これからもどうかくれぐれも宜しく。8月20日は黒田京子さんと演奏します。 また9月1日はセプテットでピットインで演奏いたします。 どうぞ時間がおありでしたらふらりと覗いてくださいませ。 アキ |