Writings

TUC PIANO2 (DOUBLE PIANO) NIGHT (Aug.19&20,1999)


8月18日〜20日の3夜、東京岩本町 Live Jazz Court TUC での 《 TUC PIANO2 (DOUBLE PIANO) NIGHT 》。 2日目高瀬アキ&大澤香織デュオ・ライブ(ゲスト井野信義)、 3日目高瀬アキ&黒田京子デュオ・ライブが行なわれました。 新宿DUG中平穂積氏の協力により、ふだんあまり接することの出来ないピアノ2台によるデュオ・ライブが実現。 熱い暑い二晩のレポートを、動に静にモノ言う音への感激、オフ・ステージのひとコマ、 高瀬アキさんへのメッセージなどなど、皆さんによる寄せ書きページのカタチで作っていきたいと思います。




8月19日(木) 《 TUC PIANO2 (DOUBLE PIANO) NIGHT 》2日目は、 高瀬アキ&大澤香織デュオ・ライブ、それにゲストとして井野信義が参加。 エリック・ドルフィーとそれぞれのオリジナルを数曲持ち寄っての構成、 後半ステージ最初には高瀬&井野デュオも加えられたライブでした。 師弟対決というよりも寛大なる母が支える低域循環の上で安堵に満ちた子が思う存分駆け回る音構築。 次へのお題のキューを送るのはたいがいは高瀬さんの方であったようでしたが、 こうきたらどうする?ならばこれで応えよう!というインタープレイがぢつに面白いものでした。 そこに感じられたのはむしろ大澤さんの師に対する深い尊敬の念だったのではないかと思います。 大澤さんのタッチも師以上の凄みを見せてくれましたね。暴れ馬だ。(^^;) 観察するに、大澤さんはずいぶん椅子を高く座っている。それが音に力を与えているのかもしれませぬ。 華麗繊細に駆けるスケール、連続したブロッキング、打ち落とされる肘鉄奏法の掛け合いを存分堪能。

井野さんが参加してのチューン。高瀬さん&井野さんという往年の強力コンビ、 大澤さんもさすがに割って入ることはキツかったかなぁ? まぁ、そこはきっと大澤さんご本人が一番納得されていることでしょう(笑)。 寛大な父親の参加といったところでしょうか。 馴染みの高瀬さんのオリジナルに喜び、井野さんのいつものアルコ弾き重低音にはやはり痺れました。 "わが心のルネッサンス"のコード進行ありました?あれは何という曲だったのでしょう?(^^;) それにしても1台ピアノの音があまりに音抜けが悪かったようで、それが唯一残念。

小川拳 / Aug.22.1999


Captured by Yoshiro Pooh shikata
打ち合わせ中

8月20日(金) 《 TUC PIANO2 (DOUBLE PIANO) NIGHT 》3日目は、高瀬アキ&黒田京子デュオ。 こちらはセロニアス・モンクとそれぞれのオリジナル、斎藤徹さんの曲などで構成、 後半のステージではそれぞれソロを取り入れ、半ばに黒田さんの蛇腹あり、オーディエンス参加あり。 昨晩とはまた違うカタチの音の絡み方で、これまた面白く聴きました。 黒田さんもけっこう仕掛けてましたね。(^^;) 譜面の代弁者からは遠い世界、その時その瞬間の刹那に賭ける音、 その時の2人の会話を居合わせ端で楽しんでいるような気分ながら、 それがこのスタイルの、ジャズの最も醍醐味のあるヴィヴィッドな部分だとつくづく感じていました。

高瀬さんのソロでは内部奏法、金属皿とピンポン球。エリザベス・ホイナツカの片鱗を見ちゃったな(笑)。 そして、高瀬さんのいつもの力強いタッチにまたこうして生で触れ、兎に角嬉しかったです。 ピアノのタッチの違いを正確に言い表わすことは難しいし、 どこがこれほどまでに聴き手の心動かすのかよく判らないのですが、 高瀬さんのタッチを聴いていると「やっぱりこれだよ、これ」という言葉を発してしまいます。 タッチゆえにも好きな演奏家と言えば、グレン・グールドとキース・エマーソン、そして高瀬アキ。 フレージングも然り。それらによって構築された音、そして音楽も自分にとってはとっても響きます。 だからこそ、こうして長い年月を経てもずっと聴いていたいと欲するのでしょう。
    Aki Takase & Kyoko Kuroda - Piano Duo
    1999/08/20 Set List

    Stage #1 - Thelonious Monk
    01. Consective Second
    02. Four In One
    03. Bemsha Swing
    04. 'Round Midnight ( Kyoko Kuroda, solo )
    05. Ugly Beauty
    06. Ask Me Now ( Aki Takase, solo )
    07. Jackie-ing - Thelonious

    Stage #2
    01. 風のダンス / 斎藤徹 ( Kyoko Kuroda, solo )
    02. Duo Piano Improvisation / Aki & Kyoko
    03. Aki Takase's Solo
    04. A Bit / 斎藤徹
    05. Who's Bridge? / Misha Mengelberg

小川拳 / Aug.22.1999


Captured by Yoshiro Pooh Shikata
リハーサル中

素晴らしい體驗でした。私にはコンテンポラリの延長。 お二人のインプロバイズが、目茶面白いだけでなく、 コンテンポラリ・ピアノの様々な要素を目の當たりにした感じ。 時にはリゲテイの「悪魔の階梯」が、時にはメトネルの快速轉調が、 時にはウオルペの「バトル・ピース」が、と記憶から様々なものが引き出されました。 でも、パターン・マッチングをやつたつて仕方がない−今、 溢出されてゐる現前の運動と力に圧倒されていきました。

とにかく、終始、高瀬さんの固く強靱な打鍵に痺れ續き。 ピアノが胴体根元からギヤロギヤロ鳴つてゐる、まつたくそんな感じでした。 音のパワーとエツヂが實に良い。糸車にぐんぐん引つ張られていくやうな音のエネルギー。 プリペアしながらのソロも、見事に配置された効果に面白さ滿腹。それから、 多樣なクラスターも!あれだけ豪快ながら、非常に心地よいのは何でだらう? あの兩腕俯せクラスター、背後から拝見し、あ、これは藝術やねえ!

何だか、クラシカル・ピアノ耳が色褪せてゆく思ひで帰路につきました。 また凄い音達に會ひにライブゆきたいです。

浮月斎 / Aug.21,1999




8月20日の岩本町TUCでの高瀬アキさんのライブ、最高でした。 久々にガツンとくる演奏を聞いたなあと思います。 私は彼女の演奏を聞くのはホントに初めてだったんですが、 ピアノが生き物のように魂が宿った演奏、うなり、叫び、ささやくピアノというものを初めて聞く・・、 いえ観ました。とっても凄みがあり、しばらくの間私の脳裏から離れないことでしょう。 ひとつ家でもまねしてやってみっかな?

晶子 / Aug.21.1999




たましいの奥までとどけられた AKI SOUNDは、このあと すくなくとも6カ月は、私のなかで『愉悦』を醸しつづける ことでしょう。 AKIさんのgreat performanceに すっごく励まされたよ。 See You Again.

橋本善則 / Aug.26.1999



Captured by Mitsuya rappa Okazaki
TUC Live 1999/08/20

高瀬さんのライブ楽しく聞かせていただきました。 音楽的”やさしさ”と”力強さ”の入り混じった何とも形容し難い音の世界に魅せられました。 ご本人の内なる感情が高度なテクニックを通して聞いている我々にも充分に届いたような感じがいたしました。 お弟子さんの黒田さんとの音楽的共通点もなんとなく分かるような感じです。 ・・・・・・・うまく表現できませんが率直な感想です。

石渡幹男 / Sep.09.1999




 高瀬さん、初めて生で聞きました。力強いタッチに圧倒されました。 自分自身だけを拠り所に、音を生み出していこうとする意志を感じました。 そして何よりもその音の背後にある、高瀬アキという人間の生き方を。
 やっぱり音楽ってスゴイ。

井上晴一郎 / Sep.14.1999




 ピアノ。2台のピアノ。向き合ったピアノ。DUGから引っ越してきたというピアノ。 ピアノデュオははじめて。TUCもはじめて。そして、高瀬さんも。黒田さんのライブ には何度か出かけていましたが、いつもいつも敬愛しておりました。高瀬さんは、 その黒田さんのお師匠さんと聞いていましたので、間近で聴けるなんて大変光栄でした。
 最初は、楽譜も読めない、音楽もよくわからない者が聴きに行くなんてもったいない、 申し訳ない、と思っていましたが、 機会を逃さずに素晴らしい演奏を聴くことが出来て、とてもラッキーだったと思います。
 とにかく、五感も六感も超えて、七感(もしあれば)位総動員して楽しみました。 ピンポン玉や金属のお皿の登場には驚きましたが、 聴いているうちに自分がピアノの上で踊ったり跳ねたりしているような気分になってきて楽しかったです。
 それはそうと、あの場に「えっ!」と思う幼子の姿が。演奏に差し障りがないかと最初心配でした。 でも、大きく目を見開いて魅せられたように誰よりも「音」を感じていたように思いました。 誰の何という曲でどうのこうのと言う以前の、在るがまま、心が、体が、感じ、聴いて、 ある時は喜び、ある時は涙し、ある時は物思えばいいんだ、とあらためて思えた、 そんな素晴らしい一夜でした。

内藤俊子 / Sep.17.1999


Captured by Mitsuya rappa Okazaki
TUC Live 1999/08/20

その初め、高瀬アキという人をまったく知らなかった。

ジャズのこともほとんど知らなかった。
パーカーを聴いても、その音(テンション)をとることができなかった。
マイルスを聴いてもさっぱりわけがわからなかった。
メトロノームをかけていると、2と4に鳴っていた音が必ずひっくりかえった。

そこから始まり、「もう、あなたは来なくていいわ」と言われるまで、
ちょうど2年間。
その間、ずいぶん高瀬アキの音楽を聴いた。

一人のミュージシャンとして、
この人は何をやりたくて、何を音楽的に実現しようとしているのだろう、
と考えたりした。
一人の人間として、
どんな生き方をしようとしているのだろう、
とも思ったりした。
友人の助言もあって、そのころから、私は高瀬アキとの適度な距離を、
そうして保ってきていたように思う。

高瀬アキのカルテットの演奏を聴いたり、
LP『天衣無縫』を聴いたりして、
う〜む、む、むと感じているうちに、
高瀬アキは海の向こうへ行ってしまった。

その海の向こうに行く直前だっただろうか。
一度だけ、高瀬アキの家に泊まったことがある。
その時、私が見た高瀬アキの目は、今もって忘れることができないでいる。
戻ることを拒否した、非常に孤独で厳しい目だった。恐かった。
女性はこんな目をしていてはいけないと、何故か瞬間的に感じた。

そして、気がつくと、それから約15年の月日が流れていた。

一昨年、旧東ドイツの地で、高瀬アキと同じステージに立つ機会を得て、
この8月に、初めてきちんと向かい合う機会を持った。

と、今回のピアノデュオには全然関係ないことを書いてしまった(苦笑)。
でも「もっと詳しいことがわかるのら〜」
ということで、興味のある方は、以下のサイトへ散歩に行ってみてください。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~kkyoko/diary/9908b-32.html

http://www2u.biglobe.ne.jp/~kkyoko/diary/9710a-05.html

なのはな / Aug.31.1999






AKI Septet at 新宿PIT INN + PECO (Sep.01,1999)


9月1日(水)東京、新宿ピットインでのセプテット・ライブ。 高瀬アキ(p)、田村夏樹(tp)、林栄一(as)、片山広明(ts)、 佐藤春樹(tb)、井野信義(b)、小山彰太(ds) 。 ゲストとして伊藤君子(vo)、そして掲示板にて緊急召集された(笑)吉田隆一(bs)というメンバー。

オープニングの《RUSH》でpiano〜trumpet〜altosaxとソロを取るが、早々から林栄一alto血管浮上奏法炸裂。 《Hirariousley》に続いての《Straight Up And Down》はエリック・ドルフィーの曲。 さすがにこれだけ強力なメンツが一斉に吹奏すると音も行き場を失い氾濫する。 リヴァーヴ気味のPAも気になるところ。そんな些細なことはともかく、 管の重厚な重なりには痺れる。 ピアノの下降で始まる《Hat And Beard》はBCJOでお馴染みのナンバーで、ここではalto〜tromboneへとソロが渡る。 ステージ配置から高瀬アキのプロンプト指示が行き届かず(見えない)、 エンディングで少々ハラハラする場もあったものの、そこはライブの醍醐味だ。(^^;)



後半1曲目は高瀬アキ、伊藤君子とのデュエットによる《Walking Batterie Woman》。 ピアノvsヴォイスでスタートし、《April Song》で熱唱を聴かせる。 そして、間髪入れず《Shima Shoka》へ雪崩れ込む。NE Versionというアレンジ? それとも「しましょうかね」?(^^;) チャーリー・ミンガスのメドレーで《Sound Of Duke》、《So Long Eric》の2曲。 エンディングで《詩情の哀》(こういう漢字だったのですね)。 吉田隆一bsの図太いテーマで始まり、それに他者が絡みついて行く。 バリバリサク吉田がテーマを繰り返す中、プレイヤーが去って行くという常套的(^^;) 演出、 最後で揺り篭ベースを演出した井野信義と 再度登場でニ人羽織ならぬニ人サックスを披露した林・片山コンビに大いに楽しむ。

    Aki Takase Sextet + PECO
    1999/09/01 Set List

    Stage #1
    01. Rush : pf-tp-as
    02. Hirariousley
    03. Straight Up And Down : tp-ts-trio
    04. Hat And Beard : as-tb

    Stage #2
    01. Walking Batterie Woman : duet w/PECO
    02. April Song - Shima Shoka NE grafik
    03. Mingus Medley : Sound Of Duke - So Long Eric
    04. 詩情の哀
打上げ席にてアキさんと。今回のツァーでは小樽がたいへん良かった、と。 ライブの出来や盛況が良かったのか食べ物が美味しくて良かったのか曖昧のままだが、 熱心なリスナーのことを語っていたことだし(食中りもあったそうで)、やはり前者でしょう。 今度の帰国は来年2月、そして9、10月予定。心待ちにしております。

小川拳 / Sep.04.1999



Last Revised : Sep.17.1999