Writings

高瀬アキ音楽・奈落の万華底
- Toru Takemitsu的咀嚼 (Oct.16,1999 〜)

Yoichi Nakano
Toru Takemitsu,his music and philosophy




今日、『 天衣無縫 』のテープが届きました (今4回目を聴いています(^^))。 内容については、私などが簡単に口にすることのできない深い内容を湛えていると思いますが、 今はただただ嬉しがって、感心しながら聴いています(^^;。 ひさしぶりに「できたら音盤を全部聴いてみたい」アーティストに出会った気がします。 ここら辺まで来たら、(元々あるのかどうかわかりませんが)とっくに音楽の垣根を越えていて、 いきなり「たましい」に訴えてくるすばらしさを持っていると思います。 私が知らないだけなのかもしれませんが、 高瀬さんも井野さんも日本でもっと評価されてよいのではないでしょうか。 臨場感があって音のクオリティもすごく高いです。 (それにしてもなんというピアノの音でしょう!)。 四方さんのディスコグラフィを見ていたら、『Song For Che』と 『わが心のルネッサンス』は、 『 Close Up Of Japan 』にも入っていたので、 早速、石丸電気に国内盤の取り置きをたのんでしまいました。(^^; (Oct.16.1999)



すっかり高瀬アキさんにハマっている今日この頃です。
佐々木さんから身に余る手ほどきを受け、四方さんの見事なディスコ グラフィを印刷して、次はどれを買おうかと楽しみにしています。 (Oct.19.1999)

そうですか!高瀬アキにおハマりですか。これほど嬉しいことはありません。

聴き始めたばかりのほんの初心者で恥ずかしいのですが、今のとこ ろは『天衣無縫』のテープと『Close Up Of Japan』(CRCJ1033) の2枚だけです。『Blue Monk』(CRCJ1049)は 石丸電気に、『Looking For Love』(5075-52)は渋谷タワーにそれ ぞれ取り置きをたのんでいて、『Berlin Contemporary Jazz Orchestra』 (ECM1409)と『同 Live in Japan '96』(DIW-922)はCDworldに先週 発注しました。
とにかく『天衣無縫』を聴いて、ここのところ感じたことのなかっ た興奮と感銘を受け、 財布の中身を無視してCD入手に励もうと決意した次第です(^^)。
CDを1枚でも聴けば、どんなに「すごい人」かすぐにわかりそうなも のだと思います。 最初聴いた時、タイプは全然異なりますが、フランク・ザッパ(FMPの 『Piano Duets』で1曲だけ彼の曲を採り上げていますね)を思い浮か べました。音楽の引き出しが多いこと、そのどれもが一流であること、 ジャンルを超越していること、などがその理由です。
《しましょうか》は3本指に入る優れたアルバムだそうですね。 (Oct.20.1999)

はい、《天衣無縫》、《Close Up of Japan》、《Shima Shoka》 が私にとっての三指です(きっぱり)。

三冠制覇に向けてこれからもがんばりたいと思います。(^^) (Oct.24.1999)



昨日、一昨日と高瀬さんのCDで大収穫があり、聴き惚れていてお返事おそくなってしまいました(^^;。 まずは入手したCDのご報告から。

1.『LOOKING FOR LOVE』 (enja CD 5057-52)
佐々木さんのHPにユニークなジャケットの写真が載っていて、ぜひ手に入れたいと思っていたCDです。 渋谷のタワーレコードで購入しました。 ジャズ・フロア(5F)は、大友良英、巻上公一らの「ニュー・エイジ」と同じ階にあるためか、 フリーにも詳しい店員さんが多く話が通じやすかったです。 Joaoとアキさんの息がピッタリと合っていて非常に好感が持てました。 Joaoはメレディス・モンクやジョン・ラバーバラといった現代音楽寄りのヴォイス・パフォーマーたちと違って あくまで「ジャズ的」で、聴いていて楽しく、繰り返し聴きたくなりました。 アキさんのピアノはJoaoの音域に合わせたためでしょうか、 これまで聴いた中では一番柔らかな感じを受けました。(特に前半のスタンダード・ナンバーで) 左手の動きがすばらしく低音が活き活きしているからそう聞こえます。



2.『Berlin Contemporary Jazz Orchestra Live in Japan '96』 (DIW-922)
CDworldから届きました。ビッグバンドは久しぶりに聴きましたが、実にいいもんですね(^^)。 『エリック・ドルフィー・メドレー』にきくアキさんの編曲能力の高さ、 『ザ・モーロックス』にきくすばらしいフリー即興、『グッバイ』にきく叙情と、 感心した点を挙げればきりがありません。個人のソロもそれぞれ見事で聴き応えがあり、 これから長く愛聴する1枚になりそうです。 それと、こういうバンドの指揮はさぞ難しいのではないかと思いました。 シュリッペンバッハ氏は、 ここ数年再評価されていて今でも根強いファンをもつB.A.ツィンマーマンに作曲を師事したそうですね。 自由にやらせているようで、実は大変緻密で複雑な書法(指揮)があるように感じました。



3.『Berlin Contemporary Jazz Orchestra』 (ECM 1409)
これもCDworldから届きました。 佐々木さんから推薦で『NO IDEA』(DIW)と『WHO'S BRIDGE』(AVANT)の2枚を聴いて、 一味違うスウィング感と奇麗な音に魅せられたメンゲルベルクの曲が2曲入っているのと、 その彼がアキさんと共演?しているというので大変興味がありました。 ECMはペルトとかの音楽でしか知りませんでしたが、レーベルの「色」が出てしまっているのか、 それとも「Live in Japan」を先に聴いたためか、ややおとなしい印象を受けました。 それでも唸らされた箇所は随所にあって、これから聴き込もうと思っています。恥ずかしいのですが、 アキさんとメンゲルベルクのビート感等の違いがわからず、 どちらがどの曲を弾いているのかはっきりしないんですよ。まだまだです。(^^;



「とっくに音楽の垣根を越えていて、 いきなり「たましい」に訴えてくるすばらしさを持っている」とお書きになっていましたが、 私も同じようなことを感じています。 ジャンルは間違いなくジャズなのでしょうけれども、私にはジャズを聴いているというよりも、 あらゆるジャンルを貫き通してしまうような音楽の真髄を感じることがあるのです。

言われるとおりだと思います。 アキさんをはじめコンテンポラリー・ジャズの方々はすごく努力されているのではないでしょうか。 ご承知のとおり、最近の現代音楽は、70年代の初期までのような活気がありません。 かつての熱心な聞き手たちはフリー・ジャズや「実験的ポピュラー音楽」 に興味の対象を移しつつあるとも聞いています。 先鋭的なポピュラー・ミュージシャンは現代音楽から学ぼうとしているのに、逆に現代音楽の作曲家は、 アカデミックなシステムの上にあぐらをかいてポピュラー音楽を避けて来たことが、 衰退の大きな原因の一つではないかと思っています。


そして、ピアノ・タッチは経験することのないような異次元のもの。 これはむしろ百戦錬磨のクラシカル・ファンにとっては不思議な万華鏡世界として魅せられるものでは? と思っています。過激な意見かもしれませんが、 アキさんのピアノ音楽をもっとも理解し堪能出来るのはクラシカルの方々ではないかとさえ感じることもあります。

四方さんや佐々木さんのように、幅広い鑑賞経験をお持ちで、 特に鍵盤音楽に対して鋭敏な耳を備えていられる方が、 口をそろえて称賛されるのだから間違いないと思って聴いてみたら、(まだまだ私の聴き方は浅いですが) やはり「本物」でした。佐々木さんは「打鍵の凄さ、リズムの切れ、セッションの妙」を、 アキさんの最大の美質として挙げておられましたが、それに付け加えさせていただくとしたら、 『埴生の宿』や『ブエノスアイレスの冬』できかれる叙情(詩情)表現の見事さがあると思います。 ふっと永遠に旅立つような、それでいてセンチメンタルではないといった感じのものです。 (Oct.24.1999)



以下の3点捕獲に成功致しました。(^^;

1.『ブルー・モンク』(CRCJ-1049)
2.『PERDIDO』(enja CD 4034-2)
3.『CLAPPING MUSIC』(enja CD 8090-2)

1.は石丸に取り置きしてあった国内盤です。 2.と3.は、意外なことに新宿タワーにありました。この中ではソロの2が一番気に入っています。 どれも編成が違うので、「アキさんの強靭でしなやかな左手があればドラムは不要か」 「アキ・マジックは左手にあり」などと、素人なりに考えたりするのも楽しいです。 あと6、7枚も買えば、 なんとかこの「ヤマイコウコウ」から抜け出せるかもしれないと希望的観測を持っていますが、 甘いでしょうか?(笑)  (甘いでしょう!^^;;;)
今は特に、ご推薦の『Shima Shoka』や、『Song For Hope』などを聴きたく思っています。 (Nov.05.1999)

またアキさんのCDに関する質問で申し訳ありません。 先月27日に経営権が松下電器産業から日本ビクターに移ったばかりのテイチクから、 次のCDが発売されていますが、これらの入手はもう絶望なのでしょうか?

1.『Minerva's Owl』(TECP-18692)
2.『Esprit』(TECP-18691)
3.『ABC』(TECP-18690)

これは中古市場で探すしか術はないでしょう。新品での入手はまず難しいと思います。 《ABC》はLPの方が逆に入手し易いかもしれません。 私はこの一年間で2回ほど見たような気がします。

あと、『Art of the DUO - Gunther Klatt & Aki Takase play Ballads of Duke Ellington』 (ENJ-38)は、日本クラウンからのみの発売だったのでしょうか。

このCDはTUTUレーベルのサイトのところに載っていませんでしたか? まだ現役盤のはずです。TUTUレーベルはけっきょくはenjaですから、 日本へはenjaレーベルとして日本に流したのでしょう。 (Nov.06.1999)

前回書き忘れましたが、《Perdido》には大感激しています。 『竹田の子守歌』で、琴(きん)の演奏が終わった後、 最初のピアノ・タッチのなんという柔らかさ。 まるで天に昇っていくような錯覚におそわれました。 とても内容の濃い30数分間で、あれなら3千円払ったとしても全然惜しくはないです。



アキさんのCDを聴くたびに、 (大袈裟でなく)目の前にこんな開けた道があったのかという感じがして、四方さんには本当に感謝しています。

シュリッペンバッハ氏との『Piano Duets』(FMP)はCDworld等でも入手可能なのですが、 なるべくアキさんのピアノを中心に聴きたい私にも楽しめますでしょうか?

このピアノ格闘?ライブ盤、高瀬アキさんのピアノだけ、というと疑問ですが、 アルバムとしては素晴らしいというよりも凄いでしょう。 まぁ、高瀬アキ・ファンの私が書くことですから、その辺は充分差し引きして戴くとして(笑)、 ピアノ2台で演奏するとどれほど音の広がりがあるか堪能できると思います。 アルバムはセロニアス・モンク中心ではありますが、フランク・ザッパなどもあり。 そして、武満耳?をお持ちの中野さんであれば、 アレックスさんとアキさんの作品は間違いなくイクでしょう。(^^;) なかでも、2、9曲目の辺りはオネゲル機関車の駆動をさらに増幅した(意味不明表現) ような凄味があります。たった2台のピアノで、です。 (Nov.07.1999)

ますます興味がわいてきました(^^)。

> なかでも、2、9曲目の辺りは、、、
とてもよくわかるような気がします。『モーロックス』はBCJOで2回録音されていますが、 アキさんの4枚のCDに入っている『ポイント』とともに、シュリッペンバッハの見事な作品だと思います。 『モーロックス』は、定量楽譜でなくて図形楽譜に拠っているそうですね。 (Nov.09.1999)





中野洋一 さんのアーティクル(1999)はメールでやりとりさせて戴いたものを ご本人の了解を戴き(時にはこっそりと^^;;)このページ用に再編したものです。


Last Revised : Nov.14.1999