Writings



伊藤君子、高瀬アキ・デュオライブ @ 新宿ピットイン
   ゲスト:白石かずこ(朗読) (Aug.23,2000)



8月23日(水)新宿ピットイン、伊藤君子&高瀬アキのデュオ・ライブ。

開演少し前に新宿ピットインに着くと一階入り口付近でちょうどリハを終えて出てきた 伊藤君子さんと白石かずこさんが。 白石さんの「いやー、本当に高瀬アキさんのピアノは素晴らしいわー!」という興奮に満ちた声。 入り口のホワイトボードには高瀬アキ(vo)、伊藤君子(p)デュオ・ライブと書かれていました。(^^;) 体験してみたかった、、、。

前半伊藤君子とのデュオ、後半ゲスト白石かずこの郎読を加えての2つのステージ。 ステージの始まる前に伊藤君子さんが 「日頃あまりやらないことをやりますので驚かないように、、、」 とコメントしていたのが大変印象的でありました。

前置きにあった通り、前半のデュオ・ステージは歌唱あり、スキャットあり、 シャウトあり、そして朗読ありのまさにヴォイス・パフォーマンスで面白い内容だった。 このコンビは長年のものではありますが、昨年暮れにはベルリンでもいくつかのセットをこなしもしているし、 今年に入っても日本での顔合わせが何度かあったわけで、 そうしたセッションで築かれてきたものが、今回ある意味では凝縮されて、 またはさまざま展開されてひとつの方向性を持ってカタチになってきたように感じられました。

後半では白石かずこさんが朗読でゲスト出演。 朗読と音楽のコラボレーション。朗読というものについては日頃なかなか馴染みのない私でも 白石さんの朗読には魅せられました。朗読での「表現」は言葉をより一層具現化して、 ときには本来の言葉の意味から離れてしまうこともままあるわけだけど、 これについては札幌の詩人笠井嗣夫さん辺りを引っ張り出さないければなりません。 しかしながら、表現芸術のひとつとしては間違いなく存在していること、 そこに朗読する人、パフォーマーそれぞれのうまみや面白みが出ていることは、 日頃楽しんでいる音楽とまったく同じなのです。 そして、言葉というものの不思議をなぜか感じていたのでした。

2つのステージを通しての高瀬アキさんのピアノは、 不思議なハイ・テンション、アキさん自身が高揚しているのではなく(笑)、 ピアノの音がとても立っていた(高揚?)ように聴こえました。 いつものライブ以上に《キツネ弾き》、、、きっと判る人には判る、、、 が多様されていましたね。《Sophisticated Lady》など「聴かせ」の曲もあり充分堪能しましたが、 ステージ通しては、ファジル・サイもくりびってんぎょう、快感の疾走感と重厚さの中に埋没していました。

最後に、ステージの後、白石かずこさんやジャズ評論家横井一江さんらが 伊藤君子さんの朗読を素晴らしかった!と絶賛していましたっけ。新展開に期待します。

今回個人的にバタバタと慌しかったためにこの日のセットリストを押さえることが出来なかったのは ちょっと残念。




Ken Ogawa / Aug.31.2000



Last Revised : Sep.02.2000