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■ 多和田葉子ドゥ・マゴ文学賞 授賞式 ■
  多和田葉子&高瀬アキ パフォーマンス@渋谷 Bunkamura (Oct.07.2002)

高瀬アキさんといつもユニークかつ奥の深いピアノ+朗読のパフォーマンスで楽しませてくれる 作家、多和田葉子さん。この度、小説『球形時間』で Bunkamura 第12回ドゥ・マゴ文学賞 を受賞された。 選考は現代詩作家の荒川洋治氏。おめでとうございます。
Bunkamuraドゥ・マゴ文学賞: http://www.bunkamura.co.jp/bungakushou/
10月7日(月)渋谷東急文化村ドゥ・マゴ パリにて授賞・贈呈式が開催され、 多和田葉子さん(朗読)&高瀬アキさん(ピアノ)によるパフォーマンスも行なわれた。

 ドゥ・マゴ文学賞贈呈式

 多和田葉子さんの挨拶

当日は午後5時より賞贈呈式が始まり、選考者荒川洋治さん、多和田葉子さんらの挨拶などに続き、 パフォーマンスを披露。ピアノ伴奏による朗読というシンプルなものでなく、 声、言葉とピアノの音が対峙し闘う、会話し和む、時空をくぐり抜けるような魅力的なパフォーマンス。

 多和田葉子&高瀬アキ・パフォーマンス

 机たたきのタマ

1. 九つの断章
2. Hinter meinen Rücken
3. ことば Ein Wort
4. 机たたきのタマ
5. Frau Tual

お二人のパフォーマンスはドイツはもちろん、周辺のヨーロッパの国々でもときどき行なっているものだ。 日本でもこれまで下北沢アレイ・ホールや両国シアターχなどでライブを行なっている。 さすがに息の合ったしっかり組み上げられたパフォーマンスだ。 「ことば」というメッセージ性を持ち込む朗読からスタートし、 ヴォイスとして音楽的にピアノと会話する声の「音」まで行ったり来たりする幅の広さが、 表現を、パフォーマンスをより一層面白くさせている。

 ネジ内部奏法の披露

 ラストはやはり球形時間

パフォーマンスでは、多和田葉子さんの作品からの朗読に、 高瀬アキさんのピアノが対話的に絡むわけだが、 今回の受賞作品が『球形時間』ということで、多和田さんはとにかく「タマ」にこだわったようだ。 それが「机たたきのタマ」であり、ラストに演奏されたピンポン球による内部奏法。 多和田さんが朗読・ヴォイス・パフォーマンスをしながら、 ピアノの内部にどんどんピンポン球を放り込んでいくというもの。 後半に向かってアキさんのフォルテ・タッチがピンポン球を祝典花火のように踊らせていた。
授賞式に出席の方々は当然ながら多和田さん関係者が多く、 音楽やパフォーマンスが目的の方々ではないが、パフォーマンス終了後に 「とても面白かった!」「楽しかった!」という言葉が多く聞こえてきた。 パフォーマンスを披露する、、本当のところはそこにあるのかもしれない、と感じていた。



Ken Ogawa / Oct.12.2002



Last Revised : Oct.12.2002