Writings

■ 高瀬アキ 2003帰国ツァー ■

※ライブをお聴きになった方のコメントをお待ちしています。

□11/19(水) 鈴鹿・どじはうす
□11/20(木) 京都・ドイツ文化センター
□11/22(土) 静岡・西草深町・青嶋ホール
シアターχで昨年行われたチェ−ホフ演劇祭『ピアノのかもめ/声のかもめ』と 24日に行われるブレヒト的ブレヒト演劇祭の『ブレ.BRECHT』から2ステージ構成にしたもの。

□11/24(月) 両国・シアターχ
高瀬アキ&多和田葉子「ブレ.BRECHT」
シアターχ2度目の今年は『ブレヒト的ブレヒト演劇祭』の中のひとつとして、 昨年と同様、高瀬アキさんと多和田葉子さんのデュオ。 「ブレヒトの刺激的な言葉を拾いながら、 作品をはすかいに眺めつつ作られていく確信犯の誤訳。 三十年代の音を大胆にすくいあげて現代の都市ベルリンに交差させる音 (高瀬アキ)と翻訳語り(多和田葉子)の共演」というもの。 暗闇のステージで大きなゴム鞠を持ち上げたお二人が浮かび上がり開演、鞠はゆっくりと下降して行く。
ピアノ演奏と詩の朗読だけでなく、お馴染みのつくえ叩きのほか、多和田さんのトイ楽器、 鞠つきしながらの「イエスマン蹴鞠歌」など新しい試みも多くあった。 なかでも、いろいろな立場・職業の人たちの誤訳を披露した(もちろん多和田さんの作品ですが)「」や 「論語を読むブレヒト」はたいへんユニークで面白いものだった。
01. ソーホー学園の学園祭
02. 亡命者の対話
03. ラジオ乞食座
04. 性依存症のバラード
05. 縄張り数え歌
06. マックをめぐる嫉妬のデュエット
07. ブレヒト:マリーの思い出(多和田葉子・朗読)
08. ブレ.ぶれひと(高瀬アキ・ソロ)
09. のっぺりさん
10. 論語を読むブレヒト
11. イエスマン蹴鞠歌
12. フィナーレ:ポリーとマックの結婚式
昨年のチェーホフと比べて、多和田葉子さんはすこぶるパワーアップ。 きっと読み手、そしてパフォーマーとして突き進んだこの一年でもあったのだろう。 また、今回のテーマであるブレヒトをじゅうぶんなまで考察し、 ステージ自体もじっくり練り上げられた内容。じつに濃い密度で展開の速い楽しいステージだった。 反面、じっくり練られた分、言葉に敷き詰められた感もあり、 高瀬さんのピアノは対峙に欠けていたところも感じられた。 音には「間」や「静寂」も重要であるということだ。

□11/26(水) 小樽・小樽文学館
□11/28(金) 稚内・稚内北星学園大学講堂
□11/29(土) 札幌・北海道立文学館
□12/01(月) 札幌・くう ソロ・ライブ
□12/02(火) 釧路・ふくしま医院ホールUrari:喫茶ジス・イズ主催のライブ。
シアターχで昨年行われたチェ−ホフ演劇祭『ピアノのかもめ/声のかもめ』と 24日に行われるブレヒト的ブレヒト演劇祭の『ブレ.BRECHT』から2ステージ構成にしたもの。
北海道でのライブはいずれも満員だったとのこと。 北海道のジャズ・ネットワークの素晴らしさについても話していた。

□12/05(金) 横浜・フェリス女学院大学公開ワークショップ&演奏
即興演奏ワークショップ〜ジャズの場合 フェリス女学院フェリスホール(山手校舎)で行われた学生を対象とした公開ワークショップ、 2003年度第4回特別公開講座<即興演奏ワークショップ>〜ジャズの場合〜。
高瀬アキさん&三宅榛名さんデュオによる即興演奏で講座が始まり、 前半ではまず高瀬さんがジャズにおける即興演奏について、その歴史を辿りながらと、 コードに則った即興演奏と決まりごとに縛られない自由な即興演奏について解説する。 コードに則った即興の例としてセロニアス・モンクの《Misterioso》を演奏する。 続いて決まりごとに縛られない例を提示、課題として決められてベース音をもとに音を加えていくことから、 音程や音域、音の並び、拍子を変化させて音に表現をつけていく。 そして、最後にグラフィックで描かれた譜面からイメージする音をピアノに移し変えるという作業。 ここで三宅さん&高瀬さんのデュオで模範演奏。
即興演奏ワークショップ〜ジャズの場合
後半は多和田葉子さんの書いた詩を幾人かに朗読してもらい、 その言葉の連なりからイメージするものを音にしていくというもの。 まずはジャズ評論家横井和江さんが詩の朗読をし高瀬さんが音を付けていく。 つぎに会場にきていたジャズ・ピアニスト黒田京子さんがステージに引っ張り出されてトライ、というか模範演奏だね。^^; 学生さんがそのあと思い思いのイメージを音にしていた。
講座の最後にデュオ演奏2曲。 三宅榛名さんからの「対位法で」というテーマで1曲。 最後に何も決めずのインプロビゼーション。 テーマのあるなしで音の広がり・展開が大きく変わることがよく判り、 同時にテーマゆえに脱線していけない枠のようなものを感じられたのは面白い体験であった。

□12/06(土) 横浜・ドルフィー
林栄一とのデュオ・ライブ。
□12/07(日) 新宿・ピットイン
林栄一とのデュオ・ライブ。
林栄一とのデュオ・ライブ 横浜ドルフィー、新宿ピットインと2夜連続で高瀬アキ&林栄一デュオ。 昨年9月の熱き月下草舎ライブの余韻をいまだに引きずっている私にとっては、 今年もこの2人のデュオが聴けることはとても嬉しい。
ステージは2部で、2人のオリジナルとミシャ・メンゲルベルク、セロニアス・モンク、 チャーリー・ヘイデンの曲で構成。 それぞれのオリジナルを1曲ずつ演奏、2曲目の《Double Lotus》後半でさっそく解体作業。 3曲目馴染みの《Who's Bridge》で安堵感を得る。帰国ライブでは何度も演奏している、 高瀬アキさんのFavorite曲だ。
このステージの最後に、最新のアルバムから《TintenFisch in Wein》を披露。 意味は「ウィーンのイカ」となるが、意味合いが変わってしまうようでできれば日本語には訳して欲しくない、 とはご本人の弁。
《1ステージ》
01. Nightingale Ricecake うぐいすもち (Aki Takase)
02. Double Lotus (Eiichi Hayashi)
03. Who's Bridge (Misha Mengelberg)
04. Hinter Meinen... 私の背中の後ろ (Aki Takase)
05. La Passion Aria (Charlie Haden)
06. TintenFisch in Wein (Aki Takase)
《2ステージ》
07. Creme au Caramel (Aki Takase)
08. Tsuru つる (Eiichi Hayashi)
09. Gelati 氷菓子 (Aki Takase)
10. モンク・メドレー(Thelonious Monk)
11. 回想 (Eiichi Hayashi)
《アンコール》
12. Blue Monk (Eiichi Hayashi)
後半は、ここ一年にリリースした高瀬アキさんのオリジナルに、セロニアス・モンク・メドレー、 そして林栄一さんの名曲《つる》と《回想》2曲を見せ場、、、聴かせ場にした。 なかでも《回想》は激しいほどに熱い演奏で、聴いている者の言葉表現を奪い取ってしまうようなもの。 最後の音を弾き終えた瞬間、ピットインには心地よい疲労感と満足感が充満していたように感じた。 この曲は、Rudi Mahallもお気に入りでよく演奏している。林さんの曲ですからね!^^;
今回のツァー、新宿ピットインのデュオでやっと高瀬アキのピアノを存分に堪能できた。 やはりこのピアニストのタッチと音は他では体験することのできない世界を作り出している。



Ken Ogawa / Dec.13.2003



Last Revised : Dec.13.2003